「アンタイトルド」タダシ サトウ UNTITLED BY TADASHI SATO
タダシ サトウ(1923-2005年)
アンタイトルド 1989年
キャンバスに油彩
縦29 ⅛インチ(74cm)×横79インチ(201cm)
タダシ サトウ(1923~2005年)のアンタイトルドには、神聖なまでの簡素さと対称性があります。この無題の作品は、のどかで均整のとれた哲学的な歌を歌っているようです。魂の存在を感じられる、目で見る一編のポエムです。ハレクラニ美術コレクションのサトウの作品の中でも、間違いなく最も抽象的な作品と言えるでしょう。見る者は上部の物体の重力を感じつつ、空間にふわふわと浮かぶ物体の無重力も感じます。その並び方は意図的でありながら、同時に有機的でもあります。その細胞状の形は、細い黒線のシャープさとコントラストを成しており、ハレクラニに所蔵されたサトウの作品で、本作の数年前、1984年に制作された「シー アネモネ」との関係性を問わずにいられません。
グレースケールで描かれているため、色彩から解放されて純粋なエッセンスに煮詰められている感があります。中央部の5個の物体に加えた両サイドの大きな物体が作品の系統的な高音部を奏で、世界が一つであることを感じさせる低音部と対をなしています。